1-22-1: 単振動の方程式
いよいよ、単振動の位置x と時間t の関係式x=A\sin(\omega t+\phi)+x_c に入っていきます!
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ポイント
・ 弾性力を伴う運動方程式は、のび・ちぢみいずれか一方だけ調べればよい
・ 単振動の方程式 a=-〇(x-□) の形
ここで、〇=\omega^2 とおく。□=x_cはつりあいの位置
(この話は1-23-1にまだ続きがあります)
・ 単振動の方程式は、変数xの2階微分=-〇(x-□) の形
と覚えておくと応用範囲が広い
この単元を学ぶ人は、前もって1-14-1: 弾性力 という単元に目を通しておくことをお勧めする。
図1のように、天井から質量の無視できるばね定数k、自然長lのばねを吊るし、その先端に質量mの小球を取り付けてある。小球は鉛直方向のみを運動するものとし、重力加速度をgとする。左図はばねが伸びた状態、右図は縮んだ状態で、いずれも運動中の任意の瞬間を想定している。弾性力(黄色)の向きは自然長(x=lの位置)に戻ろうとする向きだから、左図では上向き、右図では下向き。弾性力の大きさはk×のび・ちぢみで、のび・ちぢみとは自然長からのずれ|x-l|。したがって、のびはx-l 、ちぢみはl-x である。

運動方程式は、下向きを正として
のびの場合 ma=-k(x-l)+mg (1)
ちぢみの場合 ma=+k(l-x)+mg=-k(x-l)+mg
となるから、両者ともに同形である。のびx-l に対してちぢみl-x は逆符号になるが、力の向きものびとちぢみで逆符号だから、結局 ma=-k(x-l) \cdots と同形になる。ということは、弾性力がらみの運動方程式は、のび・ちぢみの両方を図に書く必要はなく、一方だけ調べればよいということが言える。
さて、つり合いの位置をx=x_c とおくと、(1)より 0=-k(x_c-l)+mg
\displaystyle ∴ x_c=l+\frac{mg}{k}
すると(1)は \displaystyle ma=-k(x-l-\frac{mg}{k})=-k[x-(l+\frac{mg}{k})]
=-k(x-x_c) と変形できるから、
\displaystyle a=-\frac{k}{m} (x-x_c)
ここで \displaystyle \omega=\sqrt{\frac{k}{m}} とおくと後々便利で
a=-\omega^2 (x-x_c) (2)
これが成り立つときは、1-23-1で見る通り必ず x=A\sin(\omega t+\phi)+x_c なる単振動の有名な公式が成り立ち、(2)を単振動の方程式という。これは単振動の定義式である。つまり、単振動(1-18-1で扱った往復運動)は、運動方程式を立ててaを求めれば、必ず
a=-〇(x-□) の形 になる。
ということで、次の単元1-23-1でさっそく x=A\sin(\omega t+\phi)+x_c を導こう。
なお、1-01-1、1-02-1でやった通り、速度\displaystyle v=\frac{dx}{dt} 、加速度\displaystyle a=\frac{dv}{dt} だから、
\displaystyle a=\frac{d}{dt}v=\frac{d}{dt}\frac{d}{dt}x=\frac{d^2}{dt^2}x= \frac{d^2x}{dt^2}
\displaystyleつまり(2)式は \displaystyle \frac{d^2x}{dt^2} =-\omega^2 (x-x_c)
これは、変数xの2階微分=-〇(x-□) の形 と読める。この形で覚えておくと応用が効いて便利だ。たとえば電気回路分野に入ったときの電荷Qが 変数Qの2階微分=-〇(Q-□) の形 になれば単振動の考え方が応用できる、などである。