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1-24-1: 単振動の時間変化の調べ方 ー 力学攻略の基本 第3弾

単元1-27までで力学の3分の2は終了したと言えます。あと一息タイトルの「時間変化を調べる」とは時刻tの位置x,速度vを求めること。それは1-08-1「力学攻略の基本」を押さえることに過ぎません。 

 ページ最上部の(一部スマホでは右上または下側の \(\equiv\) 印「メニュー」をまずクリックしてから)各分野のタイトルをクリックすると、 目次 が見れます。また、スマホは画面を横長にして見ることをおすすめします。

ポイント  (1-08-1 : 力学攻略の基本 に沿ったまとめ)         
・ まず軸と力を図示する 
   \(x\)軸には正の向き、原点、自然長の位置、つり合い点\(=x_c\)を添える
   原点はつり合い点に取る(\(x_c=0\)とする)とよいことが多い
   物体をつり合い点\(x_c\)及び任意の位置\(x\)に書いて、力を図示する
・ 次に\(ma=F\) 
   つり合いの式及び任意の\(x\)での運動方程式を立てる
   運動方程式を式変形して、単振動の方程式
    \(x\)の2階微分(\(a\))\(=-\)〇(\(x-\)□) の形
   に持ち込む → 〇\(=\omega^2 \)□\(=x_c\)と読み取れる
・ 運動\(v,x\)を調べる 
   初期条件\(v_0,x_0\)に注意
   \(x\)と\(t\)の関係式をつくる(\(x\)-\(t\)グラフを書く)

 このように単振動では、1-08-1に沿ったまとめもやや長くなる。しかし、これを押さえるだけで「単振動が面白いように解けるようになった」「単振動って実は簡単ですね」と、多くの学生が喜びの表情で私に報告してくれている。ぜひ踏ん張り所だと思って頑張ってほしい。
 1-22-1で扱った鉛直方向のばねを題材にしよう、それが図1(a)。
 まず軸と力 ポイントに示した通り、\(x\)軸に正の向き、原点、自然長の位置、つり合い点\(x_c\)(合計4つ)を添え、さらに\(x_c\)及び任意の位置\(x\)に物体を書く(図を2つ書く)。
 1-22-1で確認した通り、のび・ちぢみいずれか一方だけ調べればよいから、例えばばねの縮んでいる状態を図示した。
 ここで学習効果を狙って、\(x\)軸を上向きに取り直し、原点をつり合い点に取る、それが図1(b)。つり合い点までのばねののびを\(d\)とおくと、自然長の位置は\(d\)と表せる。一方、位置\(x\)でのちぢみ(自然長からのずれの長さ)は\(x-d\)(上向きを正にとると座標\(x\)の方が\(d\)より大きく、大きい方から小さい方を引いた\(x-d\)がちぢみの長さとなる)、ゆえに弾性力は\(k(x-d)\)である。

図1

 次に\(ma=F\) 図1(a)のパターンの運動方程式は1-22-1で立てたから、(b)のパターンを扱う。
 つり合いの式:\(0=kd-mg\)
 任意の\(x\)での運動方程式:\(ma=-k(x-d)-mg=-kx+kd-mg=-kx\)
               [すぐ上のつり合いの式を用いた]
       ∴ \(\displaystyle (a=)\frac{d^2x}{dt^2} =-\frac{k}{m} (x-0) \)
 これを単振動の方程式 \(\displaystyle \frac{d^2x}{dt^2} =-\omega^2 (x-x_c) \) と比べて
  \(\omega\) \(\displaystyle =\sqrt{\frac{k}{m}} \) 、 \(x_c\) \(=0\) を読み取る(元々原点をつり合い点に取ったのだから、\(x_c=0\)になるのは当然である)。少し補足をしておくと、加速度\(\displaystyle a=\frac{d^2x}{dt^2} \)は1sあたりの速度の変化だから、平たく言うなら速くなったり遅くなったりの様子を定める量。加速度が定数なら等加速度運動。一方、加速度\(\displaystyle \frac{d^2x}{dt^2} =-\omega^2 (x-x_c) \)の形(これは1-22-1でやった通り単振動の方程式・定義式である)になったら、単振動である証拠なのだ。
 運動\(v,x\)を調べる 単振動では1-23-1の通り、必ず\(x=A\sin(\omega t+\phi)+x_c\)(\(t\)の三角関数)となる。くれぐれも、等加速度の公式\(x=x_0+v_0t+\frac{1}{2}at^2\)(\(t\)の2次関数)のようにはならない。この運動\(v,x\)を調べるの具体的な説明は、次の単元1-24-2に回すことにする。

 なお1-23-1でやった通り、周期\(\displaystyle T=\frac{2\pi}{\omega} \)だから、
  \(\displaystyle T=2\pi \sqrt{\frac{m}{k}} \)
つまり、運動方程式を立てて\(\omega\)を読み取るだけで即座に周期が分かる。\(T=2\pi \sqrt{\frac{m}{k}} \)は極めて出題率の高い公式だから、ぜひ覚えておきたい。分子の\(m\)を「ミ」と読み、分母の\(k\)を「カン」と読んで、「ミカンの公式」と言ったりもする(昭和の頃からあるネーミングのようだ)。

Posted by AKJ