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1-02-1: v-tグラフ

v-tグラフは物理のスタートラインです。 → <例題>は1-02-2へ                            

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ポイント   
・ 定義式 「○○と呼ぶ・名付ける・決める」タイプの式。
      名前を付けておくと便利だから名付けるのである。          
・ \(v\)-\(t\)グラフの接線の傾きは加速度に等しい
・ \(v\)-\(t\)グラフの面積は変位に等しい

 図1の青い曲線は縦軸が\(v\)軸、横軸が\(t\)軸の\(v\)-\(t\)グラフの例。

図1

 図1縦軸の速度変化\(\Delta v\)[m/s]を横軸の時間\(\Delta t\)[s]で割ったもの\(\displaystyle \frac{\Delta v}{\Delta t} \)[m/s\(^2\)] を平均加速度という。\(\Delta v \div \Delta t\)は点線の直角三角形の斜辺の傾きに等しい。1-01-1と同様に、\(\Delta t\)を限りなく小さく取ると、瞬間加速度あるいは単に加速度\(a\)という。
  加速度\(\displaystyle a=\frac{\Delta v}{\Delta t} \)  (ただし\(\Delta t→ 0\))  (1)
\(\Delta t\rightarrow 0 \)にすると、\(\Delta v \div \Delta t \)斜辺の傾きは、接線の傾きに限りなく近づくから、加速度\(a\)は\(v\)-\(t\)グラフの接線の傾きに等しい

参考 1-01-1と同様に、この式は
 \(\displaystyle a=\lim_{\Delta t \rightarrow 0} \frac{\Delta v}{\Delta t} \)  とも書ける。
 つまり、 \(\displaystyle a=\frac{dv}{dt} \)  とも書ける。

 「なぜ\(\Delta v\)を\(\Delta t\)で割ると加速度になるのか」と聞かないでほしい。むしろ、\(\Delta v\)を\(\Delta t\)で割ったものを加速度と呼ぶ、名付ける、決めているのである。この「呼ぶ・名付ける・決める」タイプの式のことを定義式という。1-01-1の(1)式は速度の定義式、 すぐ上の(1)式は加速度の定義式。
 ではなぜそのように定義するのか。定義しておくと役に立つからである。例えば\(a\)は、1-04-1: 落体の運動 や1-05-1: 運動方程式 以降の単元で役に立つことになる。
 (1)の\(\displaystyle \frac{\Delta v}{\Delta t} \)は「1sあたりの速度変化」という意味だから、加速度2m/s\(^2\)とは、速度が1sあたり2m/sずつ増えて0,2,4m/s,\(\cdots \)のように加速していくという意味。本当はもっと正確に言うと、例えば0.00001s間に0.00002m/s増えるということなので、念のため。
 ところで、速さ(速度の絶対値)の大小は速い遅いを表す。一方、加速度の大きさ(加速度の絶対値)は速度が(1sあたりに)どれだけ変化するかの大小を表す。たとえ遅い物体であっても、その速度が(1sあたりに)大きく変化しているならば、加速度の大きさは大きい。
 加速度\(a\)も符号・向きを持つ。\(a=-\)3m/s\(^2\)とは、速度が1sあたり3m/s減って減速するという意味。

 次なる重要事項として、\(v\)-\(t\)グラフの面積は変位に等しい。それを図2を用いて証明しよう。横軸の\(0~t\)を \(\Delta t\)ごとに区切って、あえて速度\(v\)が階段状に増えていくと考えてみる。図2では\(0~t\)を5等分したが、もっと細かく100万等分、さらには無限個等分すれば、階段グラフは青い曲線のグラフ(実際の運動のグラフ)に限りなく近づくから、正確に運動を考察できる。 

図2

 さて、最初の長方形aの面積はタテ(速度)×ヨコ(時間) だから図2横軸の一番左の\(\Delta t\)の間の変位に等しい。次の長方形bの面積は次の\(\Delta t\)の間の変位に等しい、・・・。そこで、全ての長方形を足した階段グラフの面積は、\(0~t\)の変位の合計に等しい。従って\(0~t\)の\(v\)-\(t\)グラフの面積(赤線で囲まれた部分)は、\(0~t\)の変位に等しい。よって証明された。
 ところで、図3のように横軸の下側に表れる\(v\)-\(t\)グラフでは、縦軸の\(v\)の値が負である。1-01-1で述べた通り、速度\(v\)の向きは運動の向きに等しいから、変位は負の向き。つまり、横軸の下側の\(v\)-\(t\)グラフの面積は負の値であると決めておけば変位に等し。図3の赤い三角形の面積より、
 \(0~t_1\)の変位\(\displaystyle =-t_1×v_1÷2=-\frac{1}{2}v_1t_1 \) となる。

図3

参考 グラフの面積は数学で積分を習った人にとってはおなじみの定積分。そこで図2を定積分で表すことにより、
 変位\(=\int_{0}^{t}v \,dt \) とも書ける。
 上の参考に記した微分の説明と同様に、ここら辺の微分積分の話は物理の「理解」を深めるのに有用である。今後適切なタイミングで微積分の話をするので期待してほしい(入試問題を「解く」上で必要性はあまりないのかもしれないが)。
 例えば図3の変位は、積分の中身\(v\)が負なので、積分値(変位)は負であると理解できる。

Posted by AKJ