1-14-1: 弾性力
弾性力についてしっかり理解しておきましょう! → <例題>は1-14-2へ
※ ページ最上部の(一部スマホでは右上または下側の \equiv 印「メニュー」をまずクリックしてから)各分野のタイトルをクリックすると、 目次 が見れます。また、スマホは画面を横長にして見ることをおすすめします。
ポイント 1-07-1と同様に「力の規則」を示す
何から働く | 向き | 大きさ | |
弾性力 | ばねから | ばねと平行 自然長に戻ろう とする向き | |F|=k|x|
k: ばね定数[N/m] |x|: のび・ちぢみ[m] |
図1、図2に示したのは、ばねの左端を壁に固定し、右端におもりを取り付けた図。ばねは引き伸ばされたり押し縮められると、自然長(ばねに何も手を加えていないときのオリジナルの長さ)に戻りたがる性質を持つので、自然長に戻ろうとする向きに弾性力を及ぼしてくる。伸びたばねは物体を引っ張り(図1 |F|が左向き)、縮んだばねは物体を押す(図2 |F|が右向き)。

力の大きさ|F|は、のび|x|またはちぢみ|x|に比例し、比例定数をk(ばね定数あるいは弾性定数という)とすると|F|=k|x|である(フックの法則)。kの単位は\displaystyle k=\frac{|F|}{|x|}により[N/m]。
一方、Fを符号付きで書けば、F=-kx。その理由は ――
のびのときはFはx軸の負の向き(図1)だから、F=-kx。
ちぢみのときはFは正の向き(図2)だが、実はF=+kxにはならない。というのも、ちぢみのときはx<0(図2)なので、F=+kx<0。これでは負の向きの力という意味になってしまう。むしろ-kxと書けば、F=-kx>0だから、正の向きの力という意味に合う。
縦軸にF、横軸にxを取ったF-xグラフを書けば、図3のようになる。x軸上右向きに行ってのび|x|が増えるほど縦軸|F|が大きくなり、x軸上左向きに行ってちぢみ|x|が増えても縦軸|F|が大きくなる様子が見て取れる。縦軸|F|が大きくなるとは、図1、図2の力|F|の矢印が長くなるという意味。
F=-kxすなわちFはxに比例だから、当然Fは一定ではない。すると運動方程式ma=F=-kxより\displaystyle a=-\frac{k}{m} x だから、aもxに比例しaも一定ではない。ということは、等加速度の公式は使えない。
ばねの問題では等加速度の公式を使わない、と心に刻んでおこう。
ではどうやって速度vや位置xを計算するのかと言えば、エネルギーの考え方を使うのが手っ取り早い。1-16、1-17でエネルギーを扱ってから、1-18-1で再びばねの問題に戻ろう。