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2-25-1: 回折格子

光波の干渉のもう1つ重要な例として、回折格子を扱いましょう → <例題>は2-25-2へ                    

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ポイント  
・ 回折格子 となり合う2つのスリットの経路差を考えればよく、
  経路差=図1中の☆\(=d\sin\theta \)        (1)
  強め合いの条件は 経路差\(d\sin\theta =m\lambda \)  (2)
  (\(m=0,\pm 1,\pm 2,\cdots \) ; \(\lambda\) は光の波長)      

 回折格子とは、通常、平板ガラスの片面に平行・等間隔のみぞを多数刻んだものを指す(図2)。みぞの数は1mmあたり100程度以上。これに例えばレーザー光を当てると、直径数mm程度のスポット●(図2)として照らされるから、レーザー光の当たるみぞの数は数100程度以上になる。 (*)

図2

 この様子を天井から見て拡大したのが図3。みぞを刻んだ部分は光を乱反射して、すりガラスのように事実上光を通さないが、みぞを刻み残したなめらかな部分は光を通し、「スリット」(細いすきま)の役割をして光が回折する。(*)で述べたことから、スリット数が数100程度以上の干渉現象が起こる。スリットとスリットの間隔、それはみぞとみぞの間隔にも等しく、格子定数\(d\)という。

 みぞの数は1mmあたり数100程度以上だから、\(d\)は(1/数100)mm程度以下。それよりも十分遠方のスクリーンで干渉は起こるから、2-21-1平行光線近似の作図が再び使え、それが図1。全て平行光線だから、スリット1番と2番の経路差、2番と3番の経路差、3番と4番の経路差、\(\cdots \)、全て等しく、となり合う2つの経路差全てが(1)式のように\(d\sin\theta \)となる。これが\(m\lambda \)(\(m\)は整数)に等しければ、となり合う全てのスリットどうしが強め合って、回折格子全体としての強め合いの条件(2)式となる。
 なお、回折格子ではヤングの干渉実験と違って角\(\theta \)の大きい場合も取扱われる(理由は当面知らなくてよい)。したがって、2-21-1図5の下の段落で扱った十分小さい角度\(\theta \)について成り立つ近似式\(\sin\theta ≒\tan\theta \)を、問題文で指示されない限り回折格子に対して用いてはいけない。

Posted by AKJ