1-12-2: 浮力 <例題>
例題を一挙に2つ練習しましょう!
※ 1-12-1でやった浮力公式を載せておく。
浮力\(F=\rho _水 V_下 g \) (1)
\(\rho _水 \): 液体の密度
\(V_下 \): 物体の体積のうち液面より下の部分
例題1
図のように、浮きを水面に垂直に浮かべた。浮きは断面積\(S\)、長さ\(L\)の細長い一様な円柱であり、その下には質量\(m\)のおもりが糸でつり下げられている。水の密度を\(\rho_0\)、浮きの密度を\(\rho\)(\(\rho <\rho_0 \))とする。浮きが上端を水面上に出して静止しているとき、上端の水面からの高さ\(x\)として正しいものを、次の①~⑧のうちから一つ選べ。ただし、糸の質量と太さおよびおもりの大きさは無視できるものとする。
① \(\displaystyle \left( 1-\frac{\rho}{\rho_0} \right) L+\frac{m}{\rho S} \) ② \(\displaystyle \left( 1-\frac{\rho}{\rho_0} \right) L-\frac{m}{\rho S} \)
③ \(\displaystyle \left( 1+\frac{\rho}{\rho_0} \right) L+\frac{m}{\rho S} \) ④ \(\displaystyle \left( 1+\frac{\rho}{\rho_0} \right) L-\frac{m}{\rho S} \)
⑤ \(\displaystyle \left( 1-\frac{\rho}{\rho_0} \right) L+\frac{m}{\rho_0 S} \) ⑥ \(\displaystyle \left( 1-\frac{\rho}{\rho_0} \right) L-\frac{m}{\rho_0 S} \)
⑦ \(\displaystyle \left( 1+\frac{\rho}{\rho_0} \right) L+\frac{m}{\rho_0 S} \) ⑧ \(\displaystyle \left( 1+\frac{\rho}{\rho_0} \right) L-\frac{m}{\rho_0 S} \)
解答・解説
1-08-1: 力学攻略の基本 の流れに従って行く。
まず軸と力(図1)。
浮きに働く重力\(W=m_{うき}g=\rho_{うき} V_{うき} g=\rho SLg \)
(1)式より、浮きに働く浮力\(f=\rho_水 V_下 g=\rho_0 S(L-x)g \) などに注意する。
次に\(ma=F\) (つり合いの式)
浮き \(0=\rho_0 S(L-x)g -\rho SLg -T \) (2)
おもり \(0=T-mg \, \) (3)
(2)+(3)で\(T\)を消去 \(0=\rho_0 S(L-x)g -\rho SLg -mg \)
\(\rho_0 Sg \)で割って \(\displaystyle 0=L-x-\frac{\rho}{\rho_0} L-\frac{m}{\rho_0 S} \)
∴ \(\displaystyle x=\left(1-\frac{\rho}{\rho_0} \right) L-\frac{m}{\rho_0 S} \) 答 ⑥
例題2
密度\(\rho\)、体積\(V\)の液体を入れた容器が、台ばかりにのっている。図のように、密度\({\rho}’ \)、体積\(V’\)の球(\({\rho}’>\rho \))を細いひもで上からつって、液体中で静止させた。このとき、はかりが示す力の大きさはいくらか。正しいものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。ただし、容器の質量は無視できるものとし、重力加速度の大きさを\(g\)とする。
① \({\rho}’ Vg \) ② \({\rho}'(V+V’)g \) ③ \((\rho V +{\rho}’V’)g \)
④ \(\rho Vg \) ⑤ \(\rho (V+V’)g \) ⑥ \(({\rho}’ V+\rho V’)g \)
解答・解説
この問題は、はかり、球、容器+水(を1物体と見なしたもの)、などいろいろと注目物体がありそうだし、しかもそれらがふれ合っている。1-10-1でやった通り、注目物体どうしがふれ合っている所での作用反作用に注意。まずはそれを押さえよう。
図2ではかりが容器+水を\(N\)で押すということは、作用反作用により、容器+水ははかりを\(N\)で押している。この\(N\)の大小で、はかりの針のふれの大小も決まる。つまり、問題文中の「はかりが示す力の大きさ」とは、容器+水からはかりに加わる\(N\)のことである。
一方、水から球に浮力\(f\)(水圧による合力)が働く(図3)ということは、球から水に下向きに浮力の反作用\(f\)が加わる。
さて、\(N\)を求めたいので、注目物体を容器+水にしてつり合いから求めるのがよい(図4)(注目物体をはかりに取っても計算は進まない)。 [ 自分が注目物体を何に取っているのかを、常に意識しよう。注目物体を何に取ればよいか見抜くには、ある程度練習を積む必要がある。]
まず軸と力 「容器の質量は無視」とあるから、
重力\(W=m_水 g=\rho _水 V_水 g=\rho Vg \)
(1)より、浮力の反作用\(f=\rho _水 V_下 g=\rho V’g \)
次に\(ma=F\) \(0=N-\rho Vg -\rho V’g \)
∴ \(N=\rho (V+V’)g \) 答 ⑤