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1-10-1: 作用反作用

作用反作用の法則及びその使い方を正確に理解しましょう → <例題>は1-10-2へ                              

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ポイント             
・ 作用反作用の法則(ニュートンの運動の第3法則)

物体Aから物体Bに力が働くと、必ずBからAに逆向きで等しい大きさの力が働く。
(2つの\(F\)のうち、一方を作用、他方を反作用と呼ぶ。どちらを作用と呼んでもよい)

・ 注目2物体がふれ合っている所での作用反作用に注意 

 1-05-1で運動方程式\(ma=F\)は力学分野における「宇宙の根本原理」であると述べた。同様に、作用反作用の法則宇宙の根本原理だ。我々の宇宙は、AからBに力が働くと、必ずBからAに力が働くようにできている。
 ポイントの図の例が、スケートリンク上で人が重いくす玉を押す図1。スケートリンクからの摩擦は無視する。このとき何が起こるのかは、1-07-1で述べたこと ―― 我々の宇宙は運動方程式が「各物体ごとに別々に」成り立つようにできている。球の加速度は球に加わる合力のみよって生じ、人の加速度は人に加わる合力のみによって生じる ―― から分かる。
球の運動方程式より、球に加わる右向きの力によって球には右向きの加速度が生じる。
  人の運動方程式より、人に加わる左向きの力によって人には左向きの加速度が生じる。』
 一方、以下に述べるのは間違いである ―― 球と人に加わる力は逆向きで大きさが等しいから互いに打ち消し合って何も起こらない ―― これはスケートリンクで経験することと明らかに食い違っている。どこで間違えたのかと言えば、力(原因1-05-1)の加わり所と加速度(結果1-05-1)の生じる側との関係をごちゃまぜにしている所。くれぐれも正しいのは『 』の中身である。球に加わる力(原因)は球の加速度(結果)を生むし、人に加わる力は人の加速度を生む。球と人という別物に加わる力が打ち消すなどという考え方自体が、そもそもナンセンスなのである。
 1-05-1の2つの力のつり合いは、1つの物体に加わる2力(原因)が打ち消し合って加速度(結果)を生じないという意味。これに比して作用反作用は、別々の物体に加わりそれぞれ別の加速度(結果)を生じさせようとする。

図1

 次の例は図2。水平な床の上の物体に指で下向きに力を加える場合、作用反作用は\(f\leftrightarrow f\)、\(N\leftrightarrow N\)、\(mg\leftrightarrow mg\)の3つのペアである。押し合いの作用反作用もあれば(\(f\leftrightarrow f\)、\(N\leftrightarrow N\))、引っ張り合いもある(\(mg\leftrightarrow mg\))。

図2

 「AからBに」の言い回しを、「BからAに」と逆にすると作用反作用のペアになるから、「地球から物体に」働く\(mg\)の反作用は、「物体から地球に」働く\(mg\)になる。「床から物体に」働く\(N\)にはならない。重力の反作用は垂直抗力ではないことに注意   (*)
 図2には合計6本の力がある。しかし図1の上で述べた通り、物体の運動方程式を立てるときには物体に働く合力\(F\)だけを計算すればよいから、図2で物体にと記された実線の力3本だけを見ればよい。上向きを正に取ると、物体に働く合力\(F=N-f-mg\)。
 運動方程式 \(m0=N-f-mg\)  ∴ \(N=f+mg\)
 つまり\(N\)と\(mg\)は等しくないから、再び(*)が確かめられた ―― \(mg\)の反作用は\(N\)ではない。

 さて、「物体の運動方程式を立てるときには、物体に働く力だけを見ればよい」と述べた。実際、作用反作用「床から物体に\(N\)」「物体から床に\(N\)」のうち、「床から物体に」の\(N\)(実線)だけが運動方程式に入り、「物体から床に」の\(N\)(点線)は入ってこなかった。1つの物体に注目している限り、作用反作用のうち一方だけしか運動方程式には入らない
 \(\displaystyle \)一方しか入らないのに、そもそも作用反作用のペアなんて考える必要はあるのだろうか。結論から言うと、注目する物体が2つ以上あって、しかもそれらがふれ合っていると、作用反作用の両方とも重要になる。
 例えば、なめらかで水平な床の上で2物体A、Bが接し合っているとき、Aに手で右向きの力\(f\)を加えてみる(図3)。1-08-1: 力学攻略の基本 の流れに従って行く。 
 まず軸と力 水平方向だけ図示した。

図3

 次に\(ma=F\) 
  A: \(Ma=f-f’\)
  B: \(ma=f’\)
 というわけで、A、Bどうしがふれ合っている所での作用反作用「AからBに」働く\(f’\)と「BからAに」働く\(f’\)のうち、「AからBに」の\(f’\)はBの運動方程式に入り、「BからAに」の\(f’\)はAの運動方程式に入るから、結局両方とも落とせない。
 注目2物体がふれ合っている所での作用反作用に注意だ。

Posted by AKJ