1-40-1: 剛体のつり合い <例題>
さっそく剛体のつり合いの例題を解いてみましょう!
例題
図のように、長さ\(L\)、質量\(m\)の一様でまっすぐな棒ABが、台の上にその一部分がはみだして置かれている。このとき、A端から長さ\(l\)だけ離れた点Pが台の端に当たっている。棒のA端にばね定数\(k\)のばねをつけて鉛直上方に引っ張ると、ばねが\(a\)だけ伸びたとき点Pが台の端を離れた。ただし、台の上の面は十分にあらくて棒は台に対してすべらないとする。また、重力加速度の大きさを\(g\) と、\(\displaystyle l<\frac{L}{2}\)とする。
問1 この棒の質量\(m\)を表す式として正しいものを、次の➀~⑥のうちから一つ選べ。
① \(\displaystyle \frac{2ka}{g}\) ② \(\displaystyle \frac{ka}{g}\) ③ \(\displaystyle \frac{ka}{2g}\) ④ \(\displaystyle \frac{2ka^2}{gL}\) ⑤ \(\displaystyle \frac{ka^2}{gL}\) ⑥ \(\displaystyle \frac{ka^2}{2gL}\)
問2 次にばねをA端からはずし、B端につけかえて鉛直上方に引っ張ると、ばねが\(b\)だけ伸びたときにB端が離れた。\(b\)は\(a\)の何倍か、正しいものを、次の➀~⑥のうちから一つ選べ。
① \(\displaystyle \frac{L-l}{L+l}\) ② \(\displaystyle \frac{L-l}{L+2l}\) ③ \(\displaystyle \frac{L-2l}{L-l}\) ④ \(\displaystyle \frac{L-2l}{L+l}\) ⑤ \(\displaystyle \frac{L-2l}{L}\) ⑥ \(1\)
解答・解説
今まで通り、まず軸と力、次に\(ma=F\) と行けばよいのだが、ただし剛体では、\(ma=F\)の代わりに、モーメントと力のつり合いの式を立てる。
問1 棒が点Pからわずかだけ浮いた状況を考えるとよい(図1)。
モーメントのつり合い \(\displaystyle 0=kaL-mg\frac{L}{2}\) (1)
力のつり合い \(0=N+ka-mg\:\) (2)
(1)より \(\displaystyle m=\frac{2ka}{g}\:\,\) (3) 答 ①
・ なお、(2)は\(N\)を求めるための式ということになる。
問2 棒が点Bからわずかだけ浮いた状況を考えるとよい。モーメントの中心は点P。
モーメントのつり合い \(\displaystyle 0=mg\left(\frac{L}{2}-l\right)-kb(L-l)\) (4)
力のつり合い \(\displaystyle 0=N’+kb-mg\) (5)
(3)を(4)に代入 \(\displaystyle 0=2ka\left(\frac{L}{2}-l\right)-kb(L-l)\)
\(k\)を約して \(b(L-l)=a(L-2l)\) [ 選択肢を意識しながら、式変形しよう ]
∴ \(\displaystyle b=a×\frac{L-2l}{L-l}\) 答 ①